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先日、以前から気になっていた印刷博物館に行ってきました。
印刷博物館、なんとなく存在は知っていたのだけれど、立地がぼくの行動圏から外れていたのでなかなか足を運ぶ機会がありませんでした。 今回たまたま電車の中吊り広告で「1950年代日本のグラフィック」展を知って、とうとう行ってみました。
場所は JR 飯田橋駅から首都高に沿って 15 分ほど歩いたあたりです。 こういっては何だけれど、ちょっと微妙な立地ですな。 建物内を奥まで進み、エスカレーターを降りたところで入場料 500 円(企画展 / 常設展あわせて)を払うんだけれど、ちょっと注意点。 印刷博物館の Web サイトで手に入れられる割引券は、印刷一枚につき一名のみの割引だそうです。 二人で行くなら二枚印刷していく必要があります。 十人なら十枚。 ぼくは二名で一枚しか印刷していかなかったので 50 円のみの割引。 うん、確かに割引券にそう書いてありますな。 見落としていました。
入ってまずは、「文字」や「印刷物」の歴史を模型やレプリカでずらりと並べた廊下を進みます。 ラスコーの壁画に始まり、甲骨文字やロゼッタストーン、印仏や浮世絵などさまざまな文字や版画を経て、グーテンベルクの活版印刷に至ります。 大量複製技術が発展してゆき、映画などの動画媒体も現れます。 そして最後はなぜか CD-ROM と電子基盤が。 ここで「印刷技術」と「情報の記録」の分離が起こっているのがなかなか興味深いところです。 ここまでは企画展示に至るまでの廊下にすぎないはずなのだけれど、十分に見ごたえのある展示でした。 面白い。
さていよいよ企画展「1950年代日本のグラフィック」です。 展示は大きく「生活をゆたかに」「グラフィック・デザインとは」「メイド・イン・ジャパン」の三部に分かれています。 1950年代は1952年のサンフランシスコ講和条約までの occupied Japan から「もはや戦後ではない」を経て高度経済成長の足がかりを築いた時期です。 ちょっと前に話題になっていた昭和30年代の前半分とも重なります。 現代のものだといっても通用しそうなデザインもちらほらと。 百貨店の包装紙なども展示されていて、現在も同じデザインのものが使われていることに驚きました。 がしかし、展示されていた高島屋の包装紙に、明らかに裏紙としてメモに使われた形跡が・・・。 まともなものが残ってないんだねぇ。 いや、それにしたってメモってさ。 ちなみに図録に収録されていたのもそのメモでした。 1970年代生まれのぼくにとっては「懐かしい」という感覚は余りありませんでしたが、終戦後10年前後でここまで多様なものが世に出ていたことには感慨深いものがありました。
企画展のエリアを抜けると常設展です。 こちらは、最初の廊下のエリアで象徴的に展示されていた印刷技術を、それぞれ掘り下げて展示しているような感じです。 グーテンベルクの活版印刷機の復元があったり、浮世絵の摺りの実演もあったり(ぼくがいた時間はやっていませんでしたが)。 なかでも、名前を失念してしまったのですが、タイプライターのようなキーを押すと自動的に活字を組んでくれる機械がすさまじかったです。 キーを押すと対応する活字(の凹版)がカチャカチャと落ちてきて、一列分が出来上がるとそこに鉛を流し込んで凸版をつくり、それをまた並べて一ページ分を組み上げます。 鉛を流し込んだ後には活字を再び運び上げて、また文字ごとのプールに戻します。 手廻し計算機にも通じるものがあるのですが、このような一つ二つ前のパラダイムの技術を突き詰めたものはなかなか魅力がありますな。
地階の企画展 / 常設展も面白かったのだけれど、一階の P&qmp;P ギャラリーで開催されていた「グラフィックトライアル2008」も非常に興味深い展示でした。
四人のアートディレクターの方が凸版印刷のエンジニアの方と組んで、印刷技術を基にして作成した作品を展示しています。 その作成過程も記録されていて、最終成果物だけではなくて「トライアル」と銘打たれた実験成果も展示されています。 「オフセット印刷」にベースは置きながらも、それぞれが異なる方向で印刷を追求していて興味深い企画でした。 例えば、CMYK の各版を手書きで作成して一枚のカラー印刷を行ったり、もう特色使いまくりで日本画の画材の質感を印刷で再現していたり。 たぶん大量複製のための印刷とはまったく違うものだろうし、通常の印刷物として流通させるにはペイしないクオリティ / コストなのだろうけれど、技術としての印刷ってのも結構奥の深いものなんだなぁ、と、認識を新たにしました。 最後にアンケートに答えると、そこそこしっかりとした図録をいただけるので、答えておきましょう。
「1950年代日本のグラフィック」は 7/6 まで、「グラフィックトライアル2008」は 7/13 まで。 お早めに。
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